有機栽培適合プラグ苗(実生苗と接ぎ木苗)の栽培例
1.京都府南丹市青枯れ病発病済みハウスで栽培例
(公益財団法人自然農法国際研究開発センターで紹介いただいた圃場)
(1)5月21日定植
入り口(北)側より、「妙紅接ぎ木」5 株、「同実生」5 株、「桃太郎8」5 株、「妙紅接ぎ木」5 株、
「桃太郎8」5 株、「ルネッサンス(サカタ 青枯れへの抵抗性なし)」1 株の順に植えています。
①・② 植え付け9日目の状態
(2)トマトの7 月21 日の状況です。
妙紅の実生5 株中3 株は結構早い段階で、2 株はそれなりに頑張っていましたが、
既に全滅しています。また、本日 桃太郎8の1 株にもしおれ症状が発生していました。
③ 生長点の様子(右:接ぎ木、左:実生)
④ 実生株5本、右端1本は接ぎ木
⑤ 接ぎ木5本生育はよい
⑥ 左は接ぎ木株、右:桃太郎8(実生)が4本。接ぎ木の隣株の生長点がしおれている。
育苗ハウスにしているところに栽培をお願いしたハウスのため、株は全て8月に入って撤去しました。
写真でも分かるとおり、b-バリアを接ぎ木することによる青枯れ病の抑制効果は
非常に高いと思われます。
農家さんもこんなに違うのかと感想を頂きました。
2.自然農法種子のバテシラズ2 号と妙紅の種子頒布している
公益財団法人自然農法国際研究開発センターに育種課に栽培してもらい、
下記の感想を頂きました。
(1)妙紅について
圃場は、20 年程度自然農法で土作りを進めてきた黒ボク土壌です。
畝間にイネ科のオーチャードグラス、マメ科のシロクローバー、赤クローバーによる
草生栽培という環境下で栽培しました。
畝幅2m(作物畝1m、草生幅1m)、株間40 ㎝の1 条植えで元肥無しです。
実生苗と比べて着果性、裂果性に差はありませんでしたが、
草勢が強く生育後半まで樹がバテず、生育は良好でした。
食味も良く自根苗と食べ比べないと分からないくらいの差で問題ありません。
当該圃場は露地栽培のため輪紋病に病害が目立ちますが、
自根苗に比べ接ぎ木苗の方が病気の進行が遅いように思います。
⑦ 接ぎ木妙紅(松本市)
⑧ 自根妙紅(松本市)
⑨ 桃太郎8
写真は第1果房が着色する頃です(8/6 撮影)。
自根の妙紅は1株目がウイルスに感染し枯死しました。
写真では桃太郎8の方が着果はよいように思われますが、
生育後半は妙紅の方が草勢は強かったです。
(2)バテシラズ2 号について
黒ボク土壌ですが石が少なく、雨が降ると粘り、乾くと固まるような土壌です。
当地での露地定植時期より頂いたのが早く老化していたため、
2次育苗をして本葉8枚程度の苗を5月下旬に定植しました。
畝幅2m、株間50㎝の2条植えで、植え穴に(株)みかど協和の有機培土を
両手1杯施用しました。
接ぎ木苗は草勢が自根苗よりも強く、葉色がやや濃く、小葉で葉縁に丸みがありました。
接ぎ木苗の食味は肉質が締り、硬めでしたが、食べくらべないと分からない範囲でした。
着果状況等は特に差は無く、接ぎ木苗の方が栽培しやすくなっていると思います。
ツル割れ病などの土壌病害は確認できなかったため、
土壌病害に対する耐病性の強さについては不明です。
※写真はありません。